遺留分は、遺言の自由を制限して、一定の相続人のために財産を確保するための制度です。 遺留分の扱いはとても複雑です。
1まず、遺留分算定の基礎となる財産を把握します。
これは、(相続開始時の財産の価格)+(贈与財産の価格)-(相続債務)で求められます。もっとも、この段階ですでに検討すべき事項がたくさん出てきます。不動産の価格をどう算定するのか?「生命保険金」「退職金」「遺族年金」はどう処理するのか?特別受益を受けた相続人が相続放棄した場合はどう扱うのか?相続債務に保証債務は含まれるのか?などの種々の問題が存在します。
2次に、(①の価格)×(遺留分割合)を算出します。
遺留分割合は、相続人が尊属(親)のみの場合は3分の1で、それ以外の場合は2分の1になります。遺留分権利者が数人いる場合には、さらに法定相続分で按分します。もし遺留分を請求する人が特別受益を得ている場合には、その額をさらにここから差し引きます。
3最後に、(②の価格)-(遺留分権利者が取得した相続財産)+(遺留分権利者が負担する相続債務)を求めます。
これがプラスであれば、その額が遺留分侵害額となります。そして、この侵害された分を確保するために減殺請求するのですが、その対象財産の定め方にも細かいルールがあります。その他にも、遺留分と寄与分の関係や消滅時効の問題など、シビアな問題がたくさん潜んでいます。弁護士に依頼することで、これらの複雑な問題を解きほぐすことができます。
相続財産の中に、亡くなられた方の名義の不動産があるケースが多いと思います。ところが、この不動産が遺留分減殺の対象になる場合、遺留分減殺請求をするだけでは意味がないケースがほとんどです。 なぜなら、遺留分減殺を請求しても、持分に応じた登記がなされて不動産を共有することになるだけなので、共有物分割訴訟を同時に提起する必要があるのです。 このように、遺留分に関する事件は訴訟に移行することが多いので、弁護士に依頼する必要が極めて高いといえます。
例えば、依頼者様が遺言によって全財産を取得されたとします。 この場合、他の相続人との公平を図り、今後の親族間でのわだかまりを解消するために、こちらから遺留分減殺請求の行使を促す必要があるケースがあります。 このように、今後の親族同士の付き合いを見据えた、現実的な解決策を提案することができます。
ご相談内容
遺言が見つかりましたが、相続人の一人に全財産を相続される内容になっていました。遺留分という制度があると聞きましたが、私は沖縄に住んでいるので、埼玉での裁判に対応できません。遺留分の細かいルールも理解するのが難しいので、今後の対応を依頼したいです。
私に依頼した結果
相続財産に不動産が複数する事案で、遺留分割合も複雑なケースでした。各種資料を集めて事案を丁寧に分析し、依頼者様にも遺留分の規定について詳しく説明しました。裁判の結果、相続人全員が納得できる内容で円満に和解することができました。
弁護士コメント
相続人の中には、遠方に居住している方もいます。このケースの依頼者様も遠方にお住まいの方でしたが、ご縁があり依頼していただきました。不動産鑑定や不動産売買に伴う決済など、種々の手続が必要となりましたが、無事に円満解決に至りました。弁護士費用も、着手金を低額にし、最終的に依頼者様が得た金額から頂戴することとしたので、金銭的なご負担も抑えることができました。
その他、多数の遺留分減殺請求事件を扱っております。遺留分は、相続人の生活保障ために認められた重要な権利です。複雑な制度ですが、相続人間の公平を実現するためにも、弁護士にご依頼されることがとても重要です。相続事件には、特に力を入れております。お気軽にご相談ください。