誰もが、「ご自身が死去したあと、家族にトラブルなく、平穏な生活を送ってほしい。」と思われるのではないでしょうか。

弁護士をやっていると、遺言書がないために紛争になり、長期にわたる遺産分割事件お受けすることが多くあります。

遺言書の作成は、手間はかかりますが、弁護士に依頼をせずともできることですので、是非この記事をご覧いただき、家族・親族間の紛争が起きないよう準備いただくことをお勧めいたします。

■この記事でわかること
1 遺言書の種類
2 自筆証書遺言の作成の仕方
3 公正証書遺言の作成の仕方
4 遺言書の作成費用等

<目次>
1 遺言書とは
2 遺言書の種類
3 自筆証書遺言の作成の仕方
4 公正証書遺言の作成の仕方
5 公正証書遺言の作成費用の目安
6 弁護士費用目安

 

1 遺言書とは

ご自身が死去したあとの財産の振り分け先を指定するものです。
法律では、法定相続分といって、財産の配分割合が決められています。
もっとも、遺言書を作成することで、法律で決められた配分割合に関係なく、財産の分配割合や分配方法を指定することができます。
※ただし、特定の相続人だけに多くの財産を振り分けると、他の相続人から、遺留分侵害請求(他の相続人が、得られるべき財産を得られなかったとして、一定の財産を渡すよう請求すること)を受ける場合があります。

遺言書があると、その遺言者の意思を尊重し、残された相続人の方たちで財産の分配をする際の指針になりますので、可能であれば作成をしておくとよろしいでしょう。

 

2 遺言書の種類

遺言書の種類は3種類あります。
①自筆証書遺言
②公正証書遺言
③秘密証書遺言

一般的には、①または②で作成されるものが多数です。
③はほとんど実用されていないため、割愛します。
それぞれメリットデメリットがあるので、自分にあった遺言書の作成をしましょう。

遺言証書の種類

自筆証書遺言

公正証書遺言

作成者

遺言者本人

公証人

費用

無料

10万円程度

手間

少ない

多い

信用性

低い

高い

作成しても、要件を満たさない遺言は全て無効になります。

公証人が作成するため、無効になることはほぼありません。

保管

遺言者等

公証役場

検認手続き

必要

不要

相続人のトラブルの可能性

高い

低い

自筆で記載するため「これは遺言者の字ではない。○○が勝手に書かせたに違いない」などの言いがかりがつく可能性があります。

公証人と打合せをし、証人2人が立ち会い作成するため、内容によって不利益を受け人も納得せざるを得ない部分もあります。

※検認手続とは・・・・。
裁判所が遺言書の内容を記録して、その内容を法定相続人に知らせる手続のこと。
なお、検認手続が済んでいない遺言書では、不動産や預貯金の相続手続ができません。
(ややこしいのですが、裁判所が遺言書の【有効・無効】を判断するわけではなく、
遺言書の内容を明確にして、偽造・変造を防止するための手続です。)

 

3 自筆証書遺言の作成の仕方

遺言書というと、形式が明確に決まっていると思う方が多くいらっしゃいますが、実は決まった形式はありません。
誰に何(どのような財産)を残すのかを書面にしておくことが遺言です。
以下4つのことを守って、法的に効力を持つ遺言書を作成してみましょう。
※遺言書保管制度を利用する場合は、別途形式がありますので、ご注意ください。

【守らないといけないことは4つだけ】
①遺言者本人が、自筆する。
代筆は不可。財産目録のみパソコンでの作成可。
ただし、財産が別紙になる場合は、その目録ごとに署名・押印が必要になります。

②作成日を記載する。
令和4年6月吉日などの具体的な日付が特定出来ないものは不可。
遺言書を書き直しした場合、後の日付のものが有効となります。

③署名をする。
本人が特定できれば、芸名でも有効です。
遺言者の苗字が変更になったとしても、法的効力に問題はありません。

④捺印する
印鑑登録証明書と一致する実印で押印しましょう。
認印や拇印でも法的には問題はありませんが、遺言書の効力を巡って揉める可能性があります。

【おそらく一番簡単な遺言】
妻●●に、すべての財産を相続させる。 令和〇年〇月〇日●●●● 印

遺言証書を作成しておらず、別れ際にて作成を要する場合があります。
その際に、遺言者がきちんと文字を書けない状況も想定されます。
そういった場合には、上記のような短い文章で作成しても法的に効力を持ちます。

 

4 公正証書遺言の作成の仕方

公証役場にて遺言を作成する方法です。
公証人が署名押印をして、遺言にお墨付きを与えるため
遺言の内容が無効になる可能性はとても少なくなります。

【公正証書遺言の作成の仕方は2通り】
<ご自身で作成する方法>

(1)遺言の原案を考える。(誰にどの財産を渡すか)
(2)公証役場へ電話等で必要書類を確認する。
(3)必要書類を集める。
・遺言者と相続人に関係がわかる戸籍謄本
・遺言者と相続人に関係がわかる戸籍謄本
・受遺者の住民票
・固定資産評価証明書、不動産の登記簿謄本(不動産がある場合)
・証人の身分証等(※公正証書の作成に立ち会う人が2人必要です。)
・遺言執行者の特定資料
・その他公証人の指定する資料
(4)公証役場へ電話をし、打合せ日程を調整する。

⑸公証役場より遺言書作成期日の連絡がある。
⑹公正証書遺言書の作成を行う。(証人と一緒に公証役場へ行き、署名押印等の手続き、費用の支払いをする。)

 

5 公正証書遺言での作成手数料等の目安

例えば総財産が1500万円で遺言書(5枚の内容)を作成する場合は、5万円前後となります。

公証役場にて相談は無料でお受けしているので、費用などについて確認してみてください。
また、遺言者が体調不良等により、公証役場へ出向けない場合には、追加にて費用がかかりますが、公証人が遺言者のところまで赴いてくれます。

<弁護士や司法書士に依頼し遺言書の作成方法>

⑴弁護士や司法書士と遺言書の内容を打ち合せ、委任契約書を結ぶ。(公証役場へ納める費用とは別に着手金等がかかります。)
(3)公正証書遺言書の作成を行う。(弁護士等と一緒に公証役場へ行き、署名押印等の手続き、費用の支払いをする。)

公証役場との打合せや必要書類の収集は全て、弁護士や司法書士が行うため、手間が少なく済みます。
もっとも、弁護士費用等が発生するため費用は高くなります。

【公正証書遺言書が作成できたら】
公正証書遺言書の作成ができたら、公証人から公正証書遺言の「正本」1通と「謄本」1通を渡されます。
公正証書遺言の「原本」は公証役場に保管されるので、万が一紛失されたとしても再発行してもらうことが可能です。
※公証役場へお電話すれば、発行手続きもスムーズに対応いただけます。

【公証役場ってどんなところ?】
一般的に、区役所等を小さくした雰囲気とお考えください。
公証役場には公証人という方がおり、その人が公正証書遺言の作成をしてくれます。
公証人は、過去に裁判官や検事を務めていた方が多いです。
法律の専門家ですので、その内容は一定以上の水準で法的に担保されたものと考えることができます。
公証人も個人事業主ですので、個性があります。とても丁寧に対応してくださる方もいれば、真逆の方もいるかな、という印象です。

 

6 弁護士費用の目安

着手金として20万円~
※遺言内容や財産状況により異なります。

初回相談は無料でお受けしておりますので、お気軽にお問合せください。
無料相談をするのが忍びないと思われるお客様も多くいらっしゃり有難いですが、言葉通り気軽にご連絡いただければと思っております。

(無料相談の流れ)
お電話もしくは、問合せフォームよりご連絡いただければ、弁護士松平より電話もしくはお電話にてご連絡差し上げます。
そのお電話にてご質問内容へ回答させていただきますので、特段費用等は発生いたしません。

また、公正証書遺言の作成で一番大変な作業が公証役場との打ち合わせです。
法律のスペシャリストである弁護士や司法書士が自分の味方となってアドバイスをくれるので、ご不安な方はお近くの法律事務所へご相談することをお勧めいたします。

 

投稿者: 弁護士松平和茂